2017/04/01

遠くに佇んでいる、白い背中に見覚えがあった。

話しかけるべきなのか、立ち去るべきなのか迷っていた。

つまらない考えが、すぐに幾つか思い浮かぶ。

逡巡するとは、こういう状況を指すのだろう。

話しかけることを選んでいた。

近づいて肩を叩くと、知らない顔だった。

頭を下げて、軽く謝罪する。

緩衝材代わりに、他愛のない会話をいくつか挟む。

微笑んだそいつを見て、ああ、よく出来ているなと思う。


*****


何かを偲ぶために費やす時間は、短くて長い。

コップ一杯分の水を飲んで、眠気覚ましに浴室へ向かう。

吐き気を催すほどの値打もない私の頭の中の真空で、

あと何回繰り返すんですか、と天使が囁く。

それがこの僅かな選択と無作為の代償に他ならないのだとすれば、

思いのほか納得のいくことだった。